ガバナーメッセージ

2023-2024年度ガバナー 森川 昭正

「CREATE HOPE in the WORLD」
世界に希望を生み出そう

国際ロータリー第2520地区
2023-2024年度ガバナー 森川(Morikawa) 昭正(Akimasa)

 RI第2520地区ロータリアンの皆様、今年度、地区ガバナーを拝命いたします仙台宮城野ロータリークラブの森川昭正です。1年間、どうぞよろしくお願い致します。

新型コロナウイルス感染拡大から3年が経過し、まだ完全には安心できないながらも、感染法上の分類が2類から5類に引き下げられ、私たちの生活も元の状態に戻りつつあります。ロータリーの事業についても、イン・パーソンでの会議、交流が行えるようになり、国際交流も再開しております。

コロナ禍の3年間、世界情勢も大きく変わり、ロータリーも変化してきています。 そのような中、本年1月、世界のガバナーエレクト、シニアリーダーが一堂に会する国際協議会が、米国フロリダ州オーランドで3年ぶりにイン・パーソンで開催され、私もパートナーと2人で参加いたしました。 会場であるRosen Shingle Creekはフロリダのリゾートホテルで、その広大な敷地には、豊かな緑に野鳥が飛び交い、リスが庭を走り回り、近くの水辺にはワニが悠然と泳いでいました。

国際協議会は全日程5日間で行われ、各日びっしりと詰まった有意義な本会議と分科会、懇親会で構成されていました。私にとって、世界のロータリアンたちとビジョンを共有し、情報を交換し、親交を深めたこの協議会は、生涯忘れることのできない貴重な経験となりました。

私は「CREATE HOPE in the WORLD(世界に希望を生み出そう)」というテーマを聞いた時、新型コロナウイルス感染症の猛威やウクライナでの戦争による多くの犠牲を想い、真にタイムリーで心に届くテーマであると感じました。

マッキナリーRI会長は、年度テーマを発表するにあたり、ビジョンの大切さと「継続」と「変化」について強調し、継続とは以前のリーダーたちの良いアイデアを前進させることを意味し、具体的には “ローターアクトの地位向上”“女性・女児のエンパワメント” “DEI(多様性・公平さ・インクルージョン)の推進” “ポリオ根絶” を挙げられました。

ローターアクトの地位向上については、世界全体としてローターアクトクラブからの寄付は50万ドルを超えており、ロータリークラブに引けをとらない活動、寄付を行っているクラブもあります。このようなことから、これまでの親クラブとローターアクトクラブの関係を発展させ、互いに良いことをするために協力し支えあう新しい方法を見つけていくことが求められています。前年度よりローターアクトクラブの人頭分担金が発生しましたが、その負担や今後の活動をどのようにしていくかなど、これを機会に、改めてローターアクターとともに考え、より楽しく、やりがいのある活動、関係を模索していただければと思います。

 ロータリーの女性・女児のエンパワメントは、手を差し伸べる事だけではなく、それぞれが秘めている能力、才能を遮っているものを取り払う取り組みと整理されています。 日本社会においても賃金格差や管理職比率、政治への参画率、家事の負担割合など、改善していかなければならない課題が山積しています。 しかし、これらを改善するには政府、企業、教育機関、市民社会など多くの関係者の協力と共同努力が必要です。 女性のエンパワメントは持続的なプロセスであり、意識改革と政策の変革を両立して進めていくことが重要とされています。皆様のリーダーシップで各地域や業界において強く推進して頂ければ幸いです。

次にDEI(多様性・公平さ・インクルージョン)の推進についてですが、近年、日本社会において、アルファベット3~4文字に略されている言葉が多く、正直、私自身も具体的に何を言っているのかがわからなくなる事があります。「DEI」もその一つかもしれません。あるロータリアンは「“DEI”は「四つのテスト」を実践すればいいんだよ!」とか「“インクルージョン”は「寛容」の方が分かりやすいんじゃない?」とおっしゃいました。私もその方が解釈しやすくなります。もしかしたら少しニュアンスが違って感じる方もいると思いますが、何にしろ“DEI”を考えてみること、知ろうとする事が重要なのではないかと思います。今年度は地区にDEI推進委員会を設置致しました。皆様のクラブにおかれましてもDEIを推進する委員会を設置するか、既存の委員会でDEI推進について検討し、取り入れ、事業を実施して頂ければと思います。

ポリオ根絶については、今年度もロータリーの最優先事項です。既に亡くなってしまいましたが、私が子供の頃一緒に住んでいた叔父は小児麻痺で、ポリオ感染によるものでした。また、私たちが小学生くらいの時は、まだ学校に1人くらいは小児麻痺の子供がいたように思います。現在の日本ではワクチンのおかげでポリオは根絶していますが、ワクチンの投与をやめると、いつ昔のように大流行が引き起こされるか分かりません。最近世界の主要都市でポリオが発生したことで、この恐ろしい病の根絶に再び注目が集まっています。新たな緊急感を持ち、世界の子供を脅かす流行がさらに発生する前に、今一度、ポリオを根絶するというロータリーの目標に向かって、皆様のご協力をお願い致します。

この他に、マッキナリーRI会長は、「平和」と「メンタルヘルス」に力を注ごうと言われました。新型コロナウイルス感染症拡大やロシアによるウクライナへの軍事侵攻、さらには世界中で発生している災害により、多くの人の生命、生活が脅かされ、精神的にも多大な負担が生じています。

 「平和とは、希望が根付くための土壌であり、人々の間に新しいつながりを築き、共通点を求めて新しい機会を見つけるたびに、この土壌が耕される。そして、平和は受動的な夢ではなく、懸命な活動、築かれた信頼、そしてしばしば難しい対話の結果として生まれるもの。平和は粘り強く、勇敢に実践しなければならない。」とマッキナリーRI会長は言われました。

また、太平洋戦争において日本の攻撃で失明したにもかかわらず、その後、ロータリアンとして来日し、日豪の交換留学生を成立させたドナルド・ファーカー氏は、「それは些細なことかもしれませんが、国際親善の根本となるのは、この様な些細な行動の積み重ねだと思います。私は日本人を恨んではいません。戦争は政府と政府の戦いであって、お互い一人一人の間に憎しみはないと思っています。」と言われました。

当地区や各クラブで行なっている姉妹クラブや友好クラブとの国際交流や青少年交換留学生(短期・長期)事業の一つ一つは、まさにこの様な行動の積み重ねであり、平和に向かった重要な活動であると考えています。コロナ禍でなかなか出来なかった国際交流ですが、皆様のクラブ・地区においても、更により深い親善を図って頂きたいと思います。

世界保健機構(WHO)はメンタルヘルスを“人が自身の能力を発揮し、日常生活におけるストレスに対処でき、生産的に働くことができ、かつ地域に貢献できる様な満たされた状態”と定義づけています。メンタルヘルスの不調は、性別、年齢、立場、環境など、様々な要因により人々はストレスを感じ、ある一定の閾値を超えた時、そのダメージとして現れてきます。メンタルヘルスケアは、予防や早期発見が重要とされています。皆様の地区や企業においても、このメンタルヘルスの不調を事前に防ぐためのストレスマネジメント研修や、不調に陥った時に早期に相談する場所へのアクセス情報発信など、今年度の社会奉仕活動、職業奉仕活動に組み込んで頂ければと思います。

私たち一人ひとりは自分の価値観を持ってロータリークラブに参加しています。その個性あるリーダーの方々が、親睦、高潔性、多様性、奉仕、リーダーシップというロータリーの中核的価値観を共有することにより、ロータリー活動を実行しています。

 近年、様々なところで世界が急激に変化していますが、そういった時代の中に於いても、ロータリーの活動の基本は親睦と奉仕であり、言い換えるとやり甲斐と楽しさにあると、私は思っています。今年度のロータリー活動は、「継続」と「変化」に対し勇気を持って行動し、「平和」と「メンタルヘルス」に焦点を当て、他者を想いつつ、RIの活動方針を実現できるよう、具体的な対策を皆様と共に考え、何よりもロータリーライフを楽しみながら活動して参りたいと思います。

皆様、どうぞよろしくお願いいたします。